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分娩前後でのカシューナッツ殻液製剤の給与事例
~血液中の遊離脂肪酸(NEFA)濃度への影響~

技術事例/使用事例

2021/3/12

分娩前後は、生理的にも“負のエネルギーバランス(NEBAL)”に陥りやすく、その影響が様々な形で現れるといわれています(Goff,2016)。エネルギー不足(空腹)時は体脂肪が動員され、血液中の遊離脂肪酸(NEFA)濃度が増加することから、血中NEFA濃度はNEBALの指標とされており、分娩前後には生理的に高値を示す牛が多いことが知られています。
これまでの報告から、分娩前後のNEFA濃度が
・400μEq/L以上で周産期疾病の発症リスクが3.2倍
・600μEq/L以上で第四胃変位の発生リスクが6.4倍
に増加することも示されています(渡邉ら,2010獣医疫学雑誌 14(1))。
 また、OspinaらのNEBAL状態評価ガイドラインによると、分娩前のNEFAが300μEq/L、分娩後のNEFAが700μEq/Lを超える牛が15%以上存在する牛群は、NEBAL状態を警戒すべきとされています。 今回は血中NEFA濃度に着目したカシューナッツ殻液製剤の給与事例をご紹介します。
カシューナッツ殻液製剤を給与する牛を15頭(給与群)、給与しない牛を15頭(対照群)用意しました。給与群には分娩前後14日間(計28日間)カシューナッツ殻液製剤を給与し、各個体の分娩前後の血中NEFA濃度を比較しました。
図に示すように、対照群、給与群ともに分娩前のNEFA濃度は基準値以内に収まっていしたが、分娩後は両群では明らかな差が見られました。対照群ではNEFA濃度が分娩前より637μEq/L 上昇して805μEq/Lになりました。一方、給与群では分娩前より361μEq/L 上昇して523μEq/Lとなり、対照群より有意に低い値でした。

このうちBCSが3.5を上回る過肥牛に絞ってみてみると、その差がより顕著に表れました。

いかがでしたでしょうか。次回は血液中のβヒドロキシ酪酸(BHBA)への影響についてご紹介します。

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