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カシューナッツ殻液(CNSL)製剤給与による
黒毛和種供卵牛採胚成績への影響

技術事例/使用事例

2021/3/12

2017年日本授精卵移植関連合同研究会の京都大会で、山本動物ETクリニック(愛知県)の山本広憲先生より、カシューナッツ殻液(CNSL)製剤を高齢の黒毛和種供卵牛に給与することによる、体内受精卵の採卵成績の改善効果について報告されました。

この試験では、11頭の黒毛和種供卵牛(平均10.6歳)を二分して、試験区のみ採卵予定日30日前から採卵前日までCNSL製剤100gを給与し1回目の採卵を実施しました。その後、試験区と対照区を反転して2回目の採卵を実施し,CNSL給与の影響を検証しました。なお,採胚プログラムは農場の常法にて実施し,胚評価は国際胚移植学会(IETS;第3版)の示す基準コードに準拠の上,AおよびA‘を高品質胚としました(A:Excellent,A’:Good,B:Fair,C:Poor)。
採卵成績を比較した結果を下の図表に示します。

平均採取個数は対照区11.5個に対し、試験区13.3個と増加傾向にあったものの、有意差は認められませんでした。しかし、平均正常胚数は対照区ならびに試験区でそれぞれ7.8個および9.7個、採取胚数に占める割合はそれぞれ63.6%および83.5%と両者間に有意な差が認められました(P<0.05)。さらに、高品質胚数はそれぞれ6.0個および8.0個、正常胚数に占める割合はそれぞれ68.3%および83.8%で有意差が認められました(P<0.05)。
本試験の結果から、高齢の黒毛和種供卵牛へCNSL製剤を採卵前から給与することにより、採取胚数が増加し、さらに高品質胚の割合が高まることが示されました。合わせて実施した血液検査において、CNSL製剤を給与した牛の一部で、総タンパクおよび総コレステロール値が向上していたことから、CNSL製剤給与により栄養性が改善されたことにより,採胚成績が改善したと推察されました。

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