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肉牛へのカシューナッツ殻液製剤給与事例
~肥育牛の増体重への影響~

技術事例/使用事例

2021/8/31

2回にわたり、乳牛の分娩前後での給与事例をご紹介しましたが、肉牛への給与事例が気になる方もいらっしゃるかと思います。そこで、今回は肉牛に対して導入から出荷までカシューナッツ殻液製剤を給与した事例をご紹介いたします。カシューナッツ殻液には、外膜を持たない細菌(グラム陽性菌)の細胞表面に作用して生育を抑える働きがあることが知られています。グラム陽性菌には、ルーメンの中でメタンを生成する細菌やメタンの材料となる水素やギ酸を作り出す細菌も含まれており、乳牛にカシューナッツ殻液製剤を給与することでメタン発生量が減少することが報告されています。(shinkai,2012)一方で、カシューナッツ殻液製剤を給与した乳牛では、ルーメン液中の低級脂肪酸(プロピオン酸など)が増加するという給与事例も得られています。

分娩前後でのカシューナッツ殻液製剤の給与事例 ~血中β-ヒドロキシ酪酸(BHBA)濃度への影響~
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肉牛においても、カシューナッツ殻液製剤を給与することで、メタン生成に消費されていた栄養分が低級脂肪酸の産生に回り、飼育効率が向上することが期待されます。そこで、我々はF1種の導入牛に対するカシューナッツ殻液製剤の給与試験を実施しました。導入牛11頭を2群(給与群5頭、対照群6頭)に分け、出荷までカシューナッツ殻液製剤を給与し、1か月ごとに体重比較を行いました。導入時点での体重はほぼ同じでしたが、8か月後から給与群の体重は対照群を上回る傾向が見られ、18か月および20ヶ月後では有意に大きくなっていたことが観察されました。(図1)

出荷時点の体重も対照群に比べて給与区が大きく、飼養期間中の生涯DGおよび枝肉重量も給与群が上回っていました(表1)。

今回は肉牛(F1種)に対するカシューナッツ殻液製剤の給与事例をご紹介いたしました。いかがでしたでしょうか。

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