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酪農生産性向上セミナー2021
サマリーレポート

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2021/9/17

出光興産㈱と共立製薬㈱は2021年8月5日、酪農生産性向上セミナー2021をオンライン開催しました。

セミナーには業界関係者を中心に約130名の皆様に参加いただきました。(酪農生産者様約20名、獣医師様/酪農コンサルタント様約50名、業者様約30名)

今年のセミナーでは、ハードサポート株式会社の代表である村上求先生に『ここは外せない、秋口に向けた飼養管理のポイント』と題して、ご講演いただきました。村上先生は全道で多数の酪農場をご指導されているかたわら、栄養設計ソフトAMTSを積極的に現場活用し、勉強会を主催するなど、最新栄養技術についての情報提供を幅広く行っておられます。また、酪農雑誌へ多数執筆され、非常にご活躍されている先生です。 今回は、そのセミナー要旨を簡単にご紹介します。

乳牛への暑熱の影響

暑熱期は、乳量・乳成分の低下、維持エネルギーの増加、乾物摂取量(DMI)の低下、代謝(インスリン分泌、脂肪動員)の変化、免疫の低下、腸細胞の変化、繁殖成績の低下、乾乳牛への影響、ルーメンアシドーシスの発生、蹄葉炎の発生など枚挙にいとまがありません。
加えて、暑熱が緩んだ秋口にかけては固め食いも助長されるため、大腸アシドーシスのリスクも高まるので、暑熱期だけでなく、そのあとの時期も注意が必要となります。

暑熱対策について

飼料給与面での対策として大きく2点ご紹介いただきました。
1点目はエネルギー供給を増やすことです。消化率の良い粗飼料や糖分の給与、バイパス油脂の給与などが有効です。
2点目はルーメンアシドーシスの抑制です。物理的有効繊維の確保、デンプン濃度を抑える、重曹・抗酸化剤・カシューナッツ殻液製剤の添加などで効果が期待できるとのことです。
起立時間の増加から秋口の蹄葉炎の増加が予想されるため、積極的なフットケアをしていく必要性についても言及しておりました。

夏場のTMR乾燥について

TMR給与では加水レベルも再検討が重要とコメントがありました。ハードサポート社が運営する農場では、暑さによってTMRが乾燥し水分が失われ、予想以上に選び食いが発生している可能性を指摘していました。その対策としてTMR水分含量調整やロボット搾乳牛群でのロボット内給餌量を減らして、PMRの有効繊維を高める工夫などをご紹介いただきました。

村上先生のご講演後には、出光興産㈱より『周産期の牛へのカシューナッツ殻液の給与事例』をご紹介しました。乳牛へのカシューナッツ殻液製剤の給与により分娩後の乳量の維持、DMIの維持、ルーメンpHの維持などが確認された事例となります。暑熱だけではなく、秋口に向けても乳牛の生産性維持に貢献できる素材であると考えています。

ご講演の後、視聴者の皆様からの投稿形式で質疑応答を行いました。沢山のご質問を頂き、盛況のうちにセミナー終了となりました。

最後に、ご視聴いただきました皆様誠にありがとうございました。

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